2010年12月14日火曜日

皆川明さんx安藤雅信さん対談で気づいたこと

ミナ ペルホネンのプリント (min¨a perhonen―print)


京都で山崎タクシーさんに乗っていた木曜日の昼下がり。急に携帯がなりました。

なんと安藤雅信さんから。


「あのさあ、この間のDVDってあなたが作ったの?」

この間のDVDとはさる9月16日、安藤さんを講師にお招きして「こころとかたち~感性を磨く」講座を撮影、DVDで参加できなかった方へご紹介していることです。

「ええ。どうかしたんですか?」

「実は、日曜日に皆川明さんと対談するんだけど。160人も来るんだわ。」

「わかりました。撮影とDVDですね。喜んで!」

「じゃあよろしく!」

てなことで、安藤さんと皆川さんの対談をビデオ撮影することになりました。とはいえ、ビデオ業者でもないしなあ、撮影のセンスってなあ・・・と数日間考えていましたら、キラリ!ひらめきました。

前回安藤さんも絶賛した写真撮影家が居るではありませんか!というわけで、小島白山堂の小島さんに今回もお手伝いをお願いして写真撮影、ビデオ撮影とダブルで撮影することとなりました。

会場は、多治見市の東栄公民館。ギャルリ百草から徒歩5分なのですが、同じ多治見市内の公民館でも笠原公民館や小泉公民館のような施設からみると、極めて侘びな会場。板間と6畳の和室。

こんなところに160人もの人たちが入りきれるんか?!

送信者 ダイアログジャパンのブログ Dialog Japan Blog
セットアップを終えて、数十分もすると、あっという間に会場は満員に。立ち見も出るほどの大盛況。東栄公民館にこれほどの人数が入ったのは初めてなのでは。

さて、予定の時刻を15分ほど過ぎて対談はスタート。

皆川明さんは1967年生まれ、安藤雅信さんは1957年生まれ。

2人には10年の年齢差があります。10年のギャップは作品に、考え方に、どう影響しているのか、興味深く見守っておりました。

ところが、安藤さんがこう切り出しました。

「後継者問題についてどう考えておられます?」
「100年、200年以上続く事業にするにはどうしたらいいと思います?」
いきなり事業継承の話からはじまりました。芸術談義というよりも経営論でスタート。

皆川さんはパリコレに出品され、海外のバイヤーとの取引を拡大されつつあります。安藤さんも地方、日本だけ、といった視点での作品発表のみならず、グローバルに打って出て行こうとしています。「日本発世界」を実現実行しようとしているのです。

その一方で、素晴らしい製造拠点としての日本、高い技術を持った「ものづくり」の拠点としての日本、地方の優れた技術継承が、この長引く不況と厳しい国際競争の中で疲弊して廃れていく現状に心を痛めていました。

2人は「製造現場が無くなってしまっては創作活動そのものに支障をきたしてしまう。関わる方々、サポートしてくれる方々皆が金銭的にも報われる世界を作りたい」「状況を改善するために同志となる心ある芸術家や作家が増えてほしい」特に、金銭的に報われるようなシステムを作りたい、と考えておられるのでした。

こうした理想を実現するには長期的な展望と5年、10年ではなく、100年、200年といった永続的な経営ができるシステムとノウハウが必要になります。

そこで、「後継者問題」「100年以上の事業を継続したいと考えているのですが、どう思います?」といった話が出たんですね。

長期的なビジョンで質の高い創造性ある「ものづくり」を実現してゆくためには資本力が必要です。資本を集めるためには、スポンサー集め、クライアント集め、といったビジネスが当たり前に行なっている営業活動も芸術家には不可欠です。

村上隆氏は近著「芸術起業論」で、ヨーロッパやアメリカ、世界で通用するための芸術のルールやゲームに打ち勝つ方法、そして、「ビジネスとしての芸術」や「カネ」を芸術家が忌み嫌うのではなく、システムを芸術家自身が理解し、カネを生み、生業としての芸術として成立させるべきであり、それは十分可能であり、芸術家よ、もっと学んで世界と勝負しろ!と訴えています。

より善いものを作ろうと思えばこそ、デザイナーや作家などアーティスト達も「おれは、営業とか企画とか人付き合いとかそういうの苦手だから」と避けているわけにはいかないのです。

これは非常に面白い現象です。

経営者や企業家は、感性を欲するが故に、芸術家に接近する。「世界に1つしかないものを作ってくれ!」と作品造りを依頼する。

一方で、芸術家は、経営ノウハウやマネジメント力を欲するが故に経営者や企業家に近づき、ノウハウを学びたい、ビジネススキルをつけたい、と考える。

まさに、右脳と左脳とが別々に動いていくわけではなく、全体の脳を活用していく、そんな時代が到来しつつあることを感じました。

これは、ダニエル・ピンク氏が著書「ハイコンセプト」で提唱し、彼のコンセプトを元に、地域から世界に通用する人材育成のために我々が「ピンチャン塾」を通じて達成しようとしていることを、芸術家側もまさに先んじて行なおうとしているんですね。

優れた芸術家は、ビジネスの世界の5年先、10年先を見通す感性を持っています。彼らの鋭い感性から流行が生まれ、時代が生まれ、社会の方向が進んでゆく、「みえない時代の羅針盤」のような役割をしています。

医療でも「ホリスティック」(全包括的)といった考えが浸透し始めています。そして、この芸術論と経営論の接近。

時代の流れを先取りする芸術家の感性を学び、ビジネスを理解する、という2つの領域を理解し、実践するプロデュース能力を磨いてゆきたいと思います。

あなたはどうお考えですか?

芸術起業論

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