ここ数日で先日のギャルリ百草、安藤雅信先生に引き続いて第一線で活躍する陶芸作家の方にお話を伺う機会です。加藤先生は、77歳と荒川豊蔵先生の直系の弟子であり、加藤幸兵衛(先代)先生など昭和初期から現代に至る近代陶芸を実際に歩まれてきています。先生はこれまでの作陶の歩みを振り返りながら、現在の陶芸界などについてもお話を伺うことができました。
会場のギャラリー・ヴォイス(多治見市本町5-9-1 たじみ創造館3F)は、加藤孝造先生が「人間国宝」認定後の初講演、ということもあり、人でいっぱい。多治見の名士、陶磁器業界や地元の金融機関、産業界の重鎮の方々で溢れていましたよ。
唐澤さんの鋭い質問に丁寧に応えられていく加藤先生の姿が印象的でした。
さて、加藤先生は、どんなことをお話になられたのか。講座での発言の一部を「ツイッター中継」しましたのでご紹介します。
人間国宝の加藤孝造さん講演。これまでの創作の経験を伝えて下さっています。 http://plixi.com/p/45733286
加藤孝造先生は荒川豊蔵先生がおられても、直接先生に尋ねて答えを聞くのではなく、弟子の仲間たちと先生が作業している映像をみながら想像し話し合い発見してきたという。気づきは自分で発見する。人から教えられたりマニュアルで左脳的に知ってもハッスルのない表現では意味はない。
途中で窯から出したら戻せない。決断力が大事。@加藤孝造先生講演なう。
200焼いて5ー6個しか残さない。すぐにダメにする。お茶飲み休んでから選ぶとすると欲が出る。自分の作品だから良いところを探して残そうとする。10日ほど取っておいて後から見ると「なんじゃこりゃ」。自分の頭の中でどんどん良いイメージになっていくが現実はひどいもの。(加藤孝造先生講演)
焼き物は焼き物じゃないと焼き物じゃない。(加藤孝造講演)
(70年もやってきて飽きませんか?惰性になりませんか?と尋ねて)日々の創作に飽きる慣れるということはない。窯を前に火を前にして買ってきた土ではなく取ってきた土をこねて、無駄にするものは何一つないと取り組むことにハッスルする。(加藤孝造先生講演後に質問して)
桃山時代や昭和のはじめ頃は、土から釉薬からすべて手作り。同じ色の作品を作るのに、微妙な感覚を発見するために感性を研ぎ澄ませて窯と向かい、火と向かった時代だったと言います。一方現代では、例えば色も印刷の「カラーチップ」のように、「何番をお願いします」と頼むと、業者さんがその色の釉薬を持ってきてくれるそうです。土も「こういう土が欲しい」と言ってお金を払えば持ってきてくれるそうです。便利な時代になった一方で、現代の作家の方々は、感性を磨くことを怠っているのではないか?創作活動がある意味、「手抜き」になってしまってはいないか、と心配されていました。ご自身が主宰する「風塾」では若手作家の作品を広く紹介する機会を作っているそうです。
というのも、加藤先生自身、若手時代に荒川先生や加藤幸兵衛先生ら先人の方々の展覧会に出品しご紹介いただけたおかげで今がある、だからこそ、今、恩返しとして、若手作家の方々へできるだけ多くの機会を提供しよう、と心がけているというのです。
「感性を磨く」とは、まさしく先日の安藤雅信先生の講座です。若手育成についても、安藤先生も自身が育成する若手作家の方々の作品を披露する機会をギャルリ百草で行なうなど、若手を紹介する機会を提供しています。
「企業の歴史は30年」と言われ、ビジネスでも「事業継承」がテーマになっています。一方で、日本では「100年以上存続する企業」も少なくありません。いかに発展しながら継続し続けていくか、もビジネスのテーマです。芸術家はビジネスパーソンに比べて、10年以上先を読んでいる、と言います。ビジネスマンが見えないで、彼らが見えているもの、それは、芸術や表現の形を通じて表される、と言います。これからも彼らの活動に注目して行きたいと思います。
そして、この地域の方々はなんと恵まれていることだろう、と自分の幸運さに「ツイテいる!」と感激した次第です。安藤雅信先生や加藤孝造先生など偉大な芸術家から気軽に話を聞くことができる、そんな場が身近にあるわけです。これが東京や大阪などの大都市圏なら大変です。高額の参加費や交通費がかかるうえ、産地と離れていることから先生方のホンネも十分に伝わらないこともあるからです。
本当に我々は幸運です。多治見の「地の利」を感じることができました。
そして、対談の後に、加藤先生の作品を鑑賞してきました。とはいえ、こちらはまったくの門外漢。良し悪しもわからぬままシャッターを切ってきました。(写真撮影はOKということなんですが、まったく解釈もできません。関係者の方ごめんなさい。)
加藤先生が今回「人間国宝」に認定されたのは、この「瀬戸黒」と呼ばれる伝統技法の技術が認められた、ということです。
こちらも「瀬戸黒」作品です。
こちらは「志野(しの)」という作風です。黒から一転して白いのですから陶芸は奥が深いですね。
こちらも志野です。
黄色いものは「黄瀬戸」という作風です。鎌倉時代から続く作風だとか。
それじゃ、またね!
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