2010年3月4日木曜日

ピンチはチャンスの仕事術~夢を叶えるストーリーメイキング


4回目となる「ピンチはチャンス」講座、毎回予期せぬ内容となってゆくわけだが、今回も盛りだくさんの学びを得ることができた。

今日は受講生たち全員に、
1、自分にとって都合の良い物語を作る、
2、その物語を現実化するためにできることをアドバイスする、誰かを紹介する、
  など前向きな助言をする
といった演習を行なった。

 残念ながら2のほうは途中で時間切れとなってしまったが、この際に非常に学びとなる問答が繰り返された。

 こういう学びになる問答が繰り返されるとき、講師冥利に尽きる。なぜなら、質問した側も答える側もそして聴いている受講生全員にとって非常に実りある問答になったからだ。

 状況はこうだ。悩みを滔々と打ち明けたある受講生に対して、

別の受講生はこう助言した。

 「この東濃地域は、20年前から陶磁器・タイル業界は年々売上が下がってきた地域。陶磁器・タイル業界を端からみて居た人たちは「斜陽産業なのに、なにしがみついてるんだ?5年も経つとその業界無くなってるよ」」と言っていたのに、あなたの業界だって同じようにダメになってきた。にもかかわらず、あなたは「売上を伸ばせ」「ノルマ達成しないとリストラだ」などと社員にムチを振るっている。現実や将来がみえていないのではないか?

この答えを聞いた受講生は、うなづいていたものの、売上を伸ばせ、ノルマ達成しろ、という上司からの直近の命令に次にどんな手を打ったら良いのか、何をしたら良いのか、途方に暮れているのだ。

 ここ数年の急激な環境変化により、急に斜陽へと落ち込んでしまった人たちは、何をしているか、というと、なんと陶磁器・タイル業界の人たちと同じような行動をとっている。

 つまり、
「がんばって営業を強化すれば、きっと売上は戻るはずだ」
「がんばってあいさつ回りを2倍に殖やせば、きっと売上が戻るはずだ」
「がんばって○○すれば・・・」
「がんばって○○すれば・・・」

 これは、20年前から斜陽産業になってしまっている陶磁器・タイル業界の方々が行なっている問題解決方法と同じである。

 面白いことに、陶磁器・タイル業界の人たちと同じような行動をとっているにもかかわらず本人達だけは「陶磁器・タイルと同じにしないでくれ」と言う。つまり、気づいていないのだ。


 これでは落ち込むばかり、ジリ貧となるばかりである。気づかないで、過去と同じことを繰り返して行なえば、同じような成果しか出ない。つまり、これでは失敗なのである。そんな状況にある受講生に対して、別の受講者が発した質問がふるっていた。

「現状テンパっている状況は良くわかりました。でも、あなたは、そもそも、今のその仕事をお好きですか?」

と尋ねたのだ。

「今の仕事が好きか」これは本質をズバリ突いた素晴らしい質問だ。

 この質問に対して回答は明確だった。それは言葉で明確だった、ということではない、質問に答える受講生はいろいろな言葉を重ねていた。だが、ホンネで言えば、現在の仕事について気に入ってはいない、だが、逃げたくない、チャレンジして一生懸命やった上でリストラになるのならば仕方ないが今の状況で、自分の好き嫌いで逃げたくない、と答えたのだ。

 さらに別の受講生が質問を重ねた。「あなたの話を聞いていて思い出したのは、先日来社した人が「自分は給料の高い低いで仕事をしてこなかった。お客さんに喜んでもらうのが嬉しいから(これまで仕事を続けて)やってこれた」と言っていて、それを素晴らしいと感じたことだ。あなたの仕事に対するお話は、非常に印象に残ったし、大変な状況であるということもわかったけれど、自分の視点ばかりで、あなたのサービスを受けたお客さんがどう感じているか、という大事なことには触れられていない。お客を増やしたいと焦るあまりに、大事なことを忘れてしまってはいないだろうか?」

 これはビジネスマンにとって忘れてはならない言葉ではないだろうか。自分を幸せにしたいあまりに、本来、幸せにしなければならない大事な人のことを忘れてしまい、結果、幸せに届かない人を何人もみてきた。自分自身も売上を上げたいあまりに、本来先に提供しなければならない大事なお客へのサービスのことを忘れ、入金ばかり気にして、結果的にお客を何人も失ってしまった苦い経験を思い出すことになった。実は、今もある案件でトラブルになりかけている。それは100%こちら側に非があるものである。しかし、その非を認めることなく突っ走ってやろう、どうせ大丈夫だ、なんて高をくくったやり方のせいで何人のお客を失ってしまったことか、受講生同士のやり取りから私自身とても大切なものを学びなおしている。


 また別の受講生からはこんなアドバイスがあった。

 「あなたを知人へ紹介したいと思うのだが、紹介した私の知人が喜んでくれるかどうかがわかりにくい。喜んでもらえるかどうかわからない、または、わかりにくいものは紹介のしようがない。後で紹介先から苦情を言われたら困るのは自分だから」と。

 これも大変参考になる意見だ。多くの会社が紹介を受けよう、受けたい、と考えてはいるもののなかなか紹介が得られないケースが多い。なぜなら「紹介を受けたいと考えている側が、紹介先からなんと言われるかについてはあまりに無頓着なことが多い」からだ。紹介した側が「この間紹介した、あの会社どうだった?」と尋ねたところ「ありゃダメだったよ」と答えられたらどうだろう。「こんなしょうもないところを紹介して!ほんと困ったなあ」と紹介した自分が悪くなってしまう、という場面までを想定しているかと言えば・・・・?である。

 自分の物語を作る、という演習だったとはいえ、あまりに自分勝手な立場で振舞っていたことに気づかされたのだ。それはこの講座の受講生全員へのメッセージなのかもしれない。

 これらの質問や助言は、実に的確なタイミングで発せられたことに驚かされた。実に絶妙なのだ。「そのタイミングで言うか!」というほど的確なタイミングで発せられたのだ。そして、その発言が質問主だけでなく、出席者の各々の心に届くメッセージのようにも思えた講座だった。

 この講座に居られたことに感謝だし、出席してくれている受講生の方々全員に感謝申し上げたい。来週の講座も楽しみだ。

追記1 本日の講座は中部経済新聞さんからの取材を受けた。明日の同紙に掲載されているかどうかはわからないが楽しみである。

追記2 本日の中部経済新聞を確認してみた(8時43分(笑))が、どうやら紹介されていない模様。締切時刻ぎりぎりだったこともあるだろうし、他の緊急な案件もあったことだろう。いずれ紹介されることを期待している。

追記3 ご紹介いただけました。こちらをどうぞ。
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